ウンコ満載!世紀の奇書『くう・ねる・のぐそ』

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ビジネス書というものは現状を変えるため、役に立つために書かれている。そういった意味ではHow to本と言っても過言ではないだろう。また、小説は読者を想像の世界に誘う。日常では味わえない、冒険の世界や宇宙旅行、事件などの非現実世界に簡単に連れて行ってくれる。


では、ノンフィクション本はどうだろうか?宇宙について知ったからといって必ずしも役に立つ訳ではない。鳥の生態が事細かくわかったからといって、鳥類学者になるという訳でもない。


ただノンフィクションの良いところはそういったある意味では役に立たない、極端な知識を集めることにあると思う。今回紹介する一冊はその中でも飛び切り『役に立たない』。しかし、ノンフィクションの面白さを伝えるには最高の一冊である。


これはきのこ写真家である伊沢正名さんによる野糞の記録である。


屎尿処理場反対の運動を見て、その住民エゴに怒りを覚えるとともに、自分自身も水洗便所でウンコをしている以上、自然への加害者であると気づいた。そして「自然保護を叫んでいる本人が、自分のウンコを自然のサイクルからはみ出させてどうする」と野糞へ邁進することから始まる。


初めは野糞に対して恥じらいや躊躇いが見られたが、野糞を記録し日々改善することで次第に自信もつけていく。そこからは伊沢流インド式野糞法の確立、1000日続けて野糞をする千日行を成就している。


また、野糞初心者にも助かるバレないように野糞する方法、野糞するときの注意点、お尻を拭くのに最適な葉っぱなど困った時に役立つ知識が盛りだくさんである。最適な葉っぱに関してなど季節ごとにまるまる一章割くこだわりようである。


そしてなんといっても野糞写真満載の袋とじである。生ウンコの写真を載せたいという著者の強固な要望に応え、見事に遊び心を加えている。生ウンコの写真の袋とじなど出版業界初ではなかろうか。


表紙から最後の写真まで隅々まで味わえ尽くせる一冊である。